現地のBean to Bar in Costa Rica
コスタリカはコーヒー生産国として有名ですが、カカオについてはあまり知られていません。
コスタリカのカカオ
カカオは元々、中米で古くから存在しており、硬貨としても使われていました。
コスタリカでは、Bribriという原住民族が、カカオを宗教セレモニーのときに使っていました。
20世紀までは、カカオは重要な経済作物だったようですが、後にコーヒーやバナナに主要作物の地位を奪われ、また、海外から持ち込まれた病気で大部分のカカオの木は失われてしまい、現在はほとんど輸出はしていないようです。
今回行ったお店
今回、Bribri居住地の近くに滞在したため、カカオの情報に触れる機会があり、現地でBean to Barを実践している方に話を聞く機会がありました。
行ったのはCaribeans Coffee&Chocolateというお店。
ここでは、オーナーが、店の裏にある農園・カカオ加工場を回りながら、カカオのことについて教えてくれるカカオツアーを提供しています。
オーナー曰く、ツアーに参加した日本人は初めてとのこと。
カカオの実
オーナーは欧州からの移住者。元々ボランティアとしてコスタリカに来たが、移住を決め、生活していくためにコーヒー屋を始めたのだそう。その後、Bribriの生活からカカオに注目。
彼らはカカオを栽培していたが、基本的にはセレモニーのために使っており、味は気にしていない、また貧しい生活から抜け出せていませんでした。
オーナーは、Bribriの農家を一軒一軒回りながら、カカオの価値、カカオ栽培からチョコレートを作るまでの工程の違いで味が違ってくることを話し、カカオを公正な価格で買い取り、自分はカカオ栽培や精製工程を教えてもらうことで、地域の農家と信頼関係を築きながら、チョコレートのことを学んでいきました。
カカオツアーでの途中で試食できます。様々な農園由来のチョコと、香辛料など。チョコ・コーヒーパウダー・塩の組み合わせは意外と合います。
カカオを細かくすり潰しています。この加工場は手作りで工夫した工程がいっぱいで、見ていておもしろかったです。大量生産の機械がなくても、十分生産できてます。
コスタリカ原産カカオを使用したチョコレートは、オーナーのお店で売られています。大型小売店のチョコレートと比べると、決して安い値段ではないですが、カカオの品種・農園・精製方法によって異なる味が楽しめます。自分の舌に合う味のチョコレートをきっと見つかります。
消費の現地回帰
先進国では、Bean to Barは最近のトレンドとなっています。ただ、こうしてカカオ原産地に来て思うのは、現地の生産者や加工者に触れることで、カカオの魅力、カカオを取り巻く現状が腹に落とし込まれました。
現地で取れた作物を現地で加工し、観光客・地元の人々に販売する。カカオのようなコモディティは、高品質のものでも低価格で先進国に輸出され、手頃な値段で消費者の手に届いていましたが、世界規模での地産地消は加速していくのではないでしょうか。それで、生産国にお金が回って、生産者が報われるような仕組みになってほしいと思います。
もちろん、今ではネットで簡単に、遠く離れた場所の食べ物も手に入る時代なので、消費者は現地に行く必要はないかもしれません。ただ、生産の背後にあるストーリーを現地で知り、自分の中で納得感を持ったことで、チョコレートを口に入れる際に、頭の中で記憶が呼び出され、より味に深みを感じるような気がします。
何でも手に入りやすい世の中だからこそ、そこでしか買えない・体験できないことは非常に価値が高いと感じます。
「世界のいいワインを作っている農家は、正当な報いを得ている。カカオ農家もそうなってほしいし、それが目標。」
生産者と消費者を公正につなごうとする、サステイナブルな考え方のオーナーはとても魅力的でした!
おすすめのお店です。